エタノ-ルを利用した冷媒・蓄冷剤を開発するとともに、このエタノ-ル冷媒・蓄冷剤の冷却・蓄冷システムへの応用技術を開発し、エタノールの新規需要開拓を図るものである。
冷媒・蓄冷剤として必要な物性等をエタノ-ル水溶液、エタノ-ル組成物(エタノールに変性剤、防錆剤を添加したもので、以下「エタノールブライン」ともいう)について、比熱、熱伝導率、電気伝導度、粘度、凍結温度、密度等の測定を行った。得られたデータは、測定精度も良く、エンジニアリングデ-タとして利用できるデ-タ整備を図った。
エタノ-ル濃度が30%、59%、80%のエタノールブラインを実機試験機で評価し、冷媒・蓄冷剤として冷却・蓄冷システムへの適応性には問題無いことが確認できた。
濃度80%の未変性、変性エタノ-ルの腐食試験で防食剤の添加が不可欠である結果をもとに冷媒・蓄冷剤としての使用条件を考慮した防食剤を組合わせて良好な防食性を有するエタノールブライン(濃度 30%、59%、80%)を、実機試験機による評価で開発した冷媒・蓄冷剤は十分高度な性能を有しているものであることが確認できた。
濃度59%、80%のエタノールブラインを低温での顕熱利用システムでは、実機試験機運転では性能、機器への影響は問題無いことが確認できた。
濃度30%のエタノールブラインを用いて氷スラリ-を含む低温での顕熱・潜熱利用システムで実用規模での蓄熱・搬送の運転で評価・検討し蓄熱システムの開発につながる成果を得ることができた。
市販のエタノールガスセンサ-を評価し、エタノールを冷媒・蓄冷剤とし て使用するときの使用指針を作成した。
エタノールブラインは、濃度により危険物、非危険物扱いとなるが、通常の漏洩対策を取ることで問題なく十分使用出来ることが確認できた。
実機装置での評価により、冷媒(顕熱利用)、蓄冷剤(顕熱・潜熱利用)で、低温での粘度が低いこと等の特性から他の冷媒等に経済的に十分競合できるもので有ることが確認された。
アルコールの用途開発を図ると共に,環境保全を図るため,アルコールの優れた低温物性,人体及び環境に対する安全性を利用したアルコール冷媒・蓄冷剤の開発を行っている.アルコール冷媒・蓄冷剤に適した変性剤・防錆剤,蓄冷システム,安全対策について検討中.